2006年5月10日(水)しんぶん赤旗九州・沖縄面

水曜随想

食も政治もほんものを

田村貴昭


 朝一番のコーヒーは、ミルクを入れるのが私の好み。ホテルで牛乳があれば、少し残しておいて使う。なぜなら、小容器に入ったあのコーヒーフレッシュに物足りなさを感じているからだ。

 ベストセラーの本、「食品の裏側」(安部司・著)を読んで合点がいく。コーヒーフレッシュは「ミルク風サラダ油」だというのだ。サラダ油と水を乳化剤で混合し、増粘多糖類でとろみをつけ、カラメル色素でクリーム色に仕上げる――牛乳や生クリームを一滴も使っていないから安くできる。だからファミレスなどで使い放題なのだと。
安部氏はこのような例をたくさん示し、食品添加物の複合・過剰摂取に警告を発している。

 八県をまわる中でいつも感じるのは、各地の土産物店で扱っている加工食品が、多種多量の食品添加物を使用していることだ。そして目を引くコピー――「昔なつかしい味」。昔、ブドウ糖果糖液糖(甘味料)はなかった。「おばあちゃんのこだわり」。おばあちゃんはソルビン酸(合成保存料)など知らない。

 連休のとある観光地での土産物店。菓子、漬け物、調味料など、たくさんの商品が並ぶ中、添加物なしの食品は野菜とおかきぐらいだった。

 いまの社会で、食品添加物なしの生活は至難の業だろう。しかし「安く、長持ち、見た目きれい」の時代はそろそろ転換期ではないか。

 九州農政局によれば、九州の製造業(事業所数)の全国に占める割合が約7%。しかし食品製造業では約14 %と、「農業、食料関係のシェアが高い」としている。同時に、七県の生活習慣病による死亡者数が全国平均より多いことも指摘している。「食」の宝庫で活動する者として、考えさせられるデーターだ。

 熊本県和水(なごみ)町議の笹渕賢吾さんは農家で、おいしくて安全な農産物を生産している。以前ご自宅でいただいた夕食が忘れられない。食卓の上は自家製のものばかり。ピカピカの白ご飯、野菜のごま和え、漬け物、煮物、こんにゃく、味噌汁、果物…一つ一つの素材の味がしっかりしている。「何もありませんが」と奥さん。うまいのなんの、これ以上のものはない。

 くだんの土産物店も「日持ちはしません。一両日中に召し上がってください」とか「漂白してないので、見栄え悪いです」などの商品を扱えば、これからは注目されると思うのだが。製造者と消費者の意識の持ち方であろう。

 効率性、採算性優先の社会は、小泉「構造改革」で取り返しのつかない問題を引き起こした。いずれ国民一人一人にしっぺ返しが来る。耐震偽装、BSE、ライブドア事件、そして「もどき」「風味」の食品産業。ウソとごまかしが蔓延する社会――「食」も政治も本物が求められる。

”きゅう九おき沖”豆知識A
みんな大好きな温泉。では温泉の温度の定義は?
(1)25℃以上 (2)35℃以上 (3)45℃以上
答え→(1)。詳しくはブログをご覧ください。